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2020.07.15
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自宅でも簡単!お母さんと赤ちゃんにメリットが沢山ある逆子のお灸
「逆子を治したい」「できれば帝王切開ではなく自然分娩で出産がしたい」
そう思って逆子に対するお灸に興味を持ち、この記事にたどり着いた人が多いのではないでしょうか?
私の経験上、逆子のお灸は適切な時期に正しく治療ができれば9割ほどの確率で改善します。
またお灸をすることは、逆子を治すだけでなく母体と赤ちゃんにとって沢山のメリットがあるのです。
「逆子にお灸が効く」ということは近年聞く機会が多くなっていますが、そのお灸が「母体と赤ちゃん両方にとって凄く良いもの」という情報はまだまだ普及していません。
また、危険性については全日本鍼灸学会で鍼灸刺激による母体や胎児への危険性(副作用)は全く認められなかったという発表がありますので安心して受けて下さい。
今回は、逆子のお灸効果や始めるタイミング、自宅施灸のやり方を中心に鍼灸院でよくある質問を取り上げました。
この記事を読んで母体や赤ちゃんにとって良いお灸を一日でも早く始めてください。
1.逆子のお灸はお母さんと赤ちゃんに5つのメリットがある
逆子のお灸は、お母さんと赤ちゃんにとって5つのメリットがあります。
- 1.逆子の改善
- 2.胎児の成長促進
- 3.リラックス効果
- 4.母体の健康改善
- 5.安産になりやすい
それぞれのメリットを見ていきましょう。
1-1.逆子の改善
お灸を継続すれば高確率で逆子が改善します。
全日本鍼灸学会では、逆子の改善率が89.9%だったという研究発表もあるほどです。(文献:基礎と臨床合本完成)
私は逆子治療が多い職場での勤務経験がありますが、9割以上の改善実績があり、逆子と診断された際には鍼灸治療をおすすめ致します。
1-2.胎児の成長促進
胎児の成長が促進されます。お灸をすることで子宮の血流が良くなるからです。
お灸は内臓に刺激を送り、細くなっている血管を改善する効果があります。
胃腸の丈夫な赤ちゃんが生まれる傾向がありますので、栄養が沢山送れる環境つくりをして赤ちゃんに子宮の中で元気に育ってもらいましょう。
1-3.リラックス効果
母子ともにリラックス効果があります。お灸には温熱刺激や匂いでリラクゼーション効果があるからです。
ストレスは血管を細くし、血流が悪くなって子宮を収縮させてしまいます。
お灸をしてお母さんがリラックスできると子宮の圧迫が和らぎ赤ちゃんにとって居心地の良い環境になります。
1-4.母体の健康改善
お母さんの健康改善にも繋がります。足をお灸で温めることにより、冷え性の改善から全身の健康改善ができるからです。
元々冷え性の人や、妊娠中に冷え性になってしまう人が多くいます。この冷え性は下半身を冷やして足のむくみやだるさ、お腹を冷やす原因です。
また、下半身が冷えていると上半身に熱がこもりイライラしやすくなります。イライラしやすい体質は、良い母乳が出ない・子宮が圧迫する原因になりますのでお灸をして健康改善しましょう。
1-5.安産になりやすい
最後のメリットは安産になりやすくなります。
お灸はお産や陣痛の痛みを和らげたり、スムーズなお産を助ける効果があるのです。
分娩の所要時間が短くなるほかに、切迫早産や前期破水、微弱陣痛のいずれにもお灸を続けた方がトラブルの起きる確率が低いことも分かっています。
お産をスムースにできる確率を少しでも高くするためにお灸をやってみてはいかがでしょうか。
このように、妊娠中にするお灸には母体と赤ちゃんにとって様々なメリットがあります。
お母さんと赤ちゃんは、まさに一心同体。お互いの健康状態を良い方向に維持するためにお灸を使って下さい。
メリットが分かったところで次章は適切な治療開始時期を紹介していきます。
2.逆子の改善には開始するタイミングと頻度が重要
逆子のお灸は開始するタイミングと頻度が非常に重要です。
お灸を開始する理想のタイミングと頻度を把握し、改善率を上げましょう。
2-1.理想のタイミングは妊娠25~30週頃までに治療を開始すること
妊娠25~30週頃までに治療を開始することをお勧めします。理由は、赤ちゃんが回りやすい期間に始めたいからです。
図と一緒に見ていきましょう。
開始期間が異なる2つのグループの改善を研究してまとめた論文があります。
そこには妊娠28~31週に鍼灸を受け始めたグループに対して、32~35週に鍼灸を受け始めたグループは20~50%も逆子の改善率が下がったとの研究発表がありました。
ですので病院で逆子と言われたら、なるべく早いタイミングで適切な頻度を始めましょう。
また、改善する確率が最も高いのが34週までになります。遅くてもその4週前の30週までに治療を開始できると理想的です。
しかし、30週以降の場合でも改善した人を過去に私は何人も見ていますので最後まで諦めないでください。
頻度は必要になりますが改善する可能性はまだまだあります。
2-2.鍼灸院へ通いながら自宅でもお灸をする短期集中型がベスト
鍼灸院へ通いながら同時進行で自宅施灸を行う短期集中型が理想です。
理由としては2つあり、1つ目は短期間に回数をなるべく出来る方が改善度が高いからです。2つ目はツボというのは的確に捉えなければ効果が出ないため、自分でする以外に鍼灸院で正しいツボの場所を教わった方が良いからです。
高頻度で通えたらそれに越したことはないのですが理想的な頻度としては、一般的に31週までは鍼灸院に週1~2回の頻度で通っていただき、自宅施灸は週1~2回行っていきます。
32週以降は頻度を多くする必要があるため鍼灸院は週2~3回と頻度をやや上げ、自宅では引き続き週1~2回していただきます。
ですが、距離が遠く大きいお腹で鍼灸院へ週3回も通えないという人もいるかと思いますので、そんな時は鍼灸師と相談して自宅のお灸を1回増やすなどの対策をしていきましょう。
当院に来院された患者様には、ツボのシートをお渡しさせていただき、的確なツボの位置を鍼灸師がマジックで直接書かせていただきます。
これをすることによって、自宅でもどんなツボを使用するのか、どの位の刺激量が適切かを確認しながら、正確な位置にお灸をすえることが可能となります。
また患者様によっては、体質から自宅で使用するツボの種類を追加させていただくことがありますが、こちらも鍼灸院に通うことで改善率を上げるメリットの一つです。
開始する理想のタイミングと適切な頻度があることを理解したところで、次章では逆子の原因を紹介していきます。
3.逆子の多くは冷えが原因
逆子の多くは冷えが原因です。
逆子の原因は未だ科学的には解明されていません。しかし、私の経験上逆子で来院される患者様はまず強い足の冷えを持っています。
そして、この冷えを改善していくタイミングで逆子が治る人が非常に多くいらっしゃいます。
足が冷えると腸が冷えますが、腸の近くに子宮があります。その子宮が冷えると収縮し固くなってしまうのです。
本来器質的な問題がなければ妊娠後期も赤ちゃんは自分の頭の重みで下向きになります。
しかし、子宮が固く回りずらい環境では赤ちゃんが自力で下を向くことが出来ません。
注意しないといけないのは、冷え性は自覚にない人も多くいることです。
ですので実際に足先を触ってみましょう。冷えている人は赤ちゃんにとって悪影響なので、すぐに温めることをして下さい。
コラム:お灸以外で妊娠中に自分でできる3つの冷え対策
足の冷えをお持ちの妊婦さんはお灸以外の冷え対策も同時にして下さい。
どんなにお灸で身体を温めても、それ以外の時間で冷やしていたら効果がなくなってしまうからです。
今回は簡単にできるセルフケアを3つ選びました。
(1)長めの靴下をはく
膝まである分厚い靴下をはきましょう。冷えに関係するツボが足首周りから膝周りにかけて沢山あるからです。
妊娠中は夏でも冷え対策をしないといけません。どうしても暑いのが苦手だという人は、15センチ程度のアンクルウォーマーをくるぶしの高さで履きましょう。最近ではアンクルウォーマーも100円均一で売っています。
※セリアさんは11月から1月の期間でぽかぽかアイテムを販売しています。
理想は「首」の付く、首・手首・足首全てを冷やさないようにするべきです。
そうすることで自律神経が整いやすく、全身の血流が良くなって元気な赤ちゃんが生まれやすくなります。
(2)炬燵や足湯を使う
炬燵や足湯はお勧めです。靴下は保温程度ですが、炬燵や足湯は直接的に温められます。
安全なやり方は、リビングなどにあるしっかりとした椅子を用意してすると良いでしょう。お腹の大きい時期はご主人様にも協力していただきながら行ってください。
お風呂場は滑りやすいので注意しましょう。
(3)内くるぶしとアキレス腱の間にカイロを貼る
カイロは身体を温めるのに使いやすいやり方です。
内くるぶしとアキレス腱の間に貼る理由は、ここに太い血管が走っているので下半身が温まりやすくなるからです。
サイズは小さいカイロで十分。注意することは低温火傷をしないよう厚い靴下やズボンの上から貼るようにして下さい。
カイロは風邪のひき始めに肩甲骨の間に張るなど、他にも使い道が沢山あるので常にストックしておきましょう。
また、暑い時期に冷え対策をすると汗の量が多くなります。すぐに着替えないと冷えてしまったり脱水症状の危険がありますので注意してください。
これらのセルフケアを東洋医学では養生(ようじょう)といいます。健康増進に心がけ、冷え対策をして下さい。
次は、鍼灸院へ通うと体質によってツボの数を調整し、より効果的な治療ができることを説明していきます。
4.鍼灸院では体質に合わせてより効果的な治療が受けられる
鍼灸院では体質に合わせてより効果的な逆子治療が受けられます。
なぜなら鍼灸院では、その日の体調の変化をみてツボの数を調整できるからです。また、お灸だけでなく鍼(はり)やマッサージも同時に受けられます。
一般的にWebなどで勧める自宅のツボは、どんな人にでも使えるオーソドックスなツボです。ですが人によっては刺激量が多く体調が悪くなる場合もあります。
そのためツボの種類をあまり多く設定しません。
ほかにも逆子の原因には、疲れやストレス、肩や腰などの痛み、むくみ、お腹が張るなども関係します。
鍼灸院では、そういった他の症状に対するツボも追加していくことで逆子の改善率を上げていきます。
出産と産後の生活は身体に大きく負担が掛かりますので、妊娠中に体調をしっかりと整えておくことが大切です。
注意することは、鍼灸院やマッサージ院は場所によって妊婦に対する治療が受けられない所があります。
やっとの思いで大きいお腹をかばいながら治療院へ行ったら治療が出来なかったということは避けたいところですので、治療院へ行こうと思った方は一度連絡をして対応可能か確認すると良いでしょう。
私は妊娠中の患者様を数多く治療してきた経験があります。
TC鍼灸マッサージ院では妊娠中のリスクを踏まえながら安全に治療をしていきますのでご安心下さい。
それでは次の章で自宅でお灸をするときに必要な知識を解説していきます。
5.自宅でお灸をする方法を画像でわかりやすく解説
自宅でするお灸のツボや準備するものを画像を見ながら解説していきます。
自宅でお灸を考えている人は、こちらを読んで確認してからやりましょう。
5-1.三陰交と至陰
逆子のお灸で使用する代表的なツボは「三陰交」と「至陰」といいます。
これらのツボは、2つとも子宮の血流量を上げて子宮の筋肉の緊張を緩和させる効果があります。
三陰交
三陰交(さんいんこう)から説明していきましょう。
三陰交は下腹部を温めるツボです。足のだるさや疲れに効くツボであるため、下半身の血流を促進する効果があります。
下半身の血流が良くなるとで下腹部(子宮や腸など)の血流が良くなります。
自宅でするときは、左右一日3壮を目標にしてください。ポイントは温かく感じる程度で取りましょう。
セット数は朝と夜に分けても良いですし、連続でしていただいても結構です。
三陰交は優しい刺激が良いのでソフトタイプがおすすめになります。
至陰
続いて至陰です。
至陰は副交感神経が多く走っている仙骨(せんこつ)を通るツボのラインの一つです。
副交感神経とは身体をリラックスさせる働きがあります。
効果として逆子以外には、月経痛や頭痛、めまい、鼻づまり、尿閉の症状に適応します。
これらの症状は、副交感神経の働きが落ち、興奮作用のある交感神経が優位になると発症しやすくなります。
自宅でするときは、一日10壮1、2セットを目標にしてください。
こちらの至陰は少し熱さを我慢して、刺激が強い方が効果的です。くれぐれも火傷に細心の注意を払って行ってください。
5-2.自宅でお灸をするときの準備と手順
自宅でお灸をする際には万全な準備をし、正しい手順で危険がない環境で行いましょう。
万全な準備と正しい手順で行えば、まず安全な市販のお灸では危険が及ぶ可能性は極力少なくなります。
準備するもの
お灸(千年灸)
お灸はドラッグストアなどで売っています。
熱さが3段階あるメーカーが多いのでレギュラータイプを選びましょう。
少し熱いと感じるくらいの方が効果がありますが、敏感な人はソフトタイプで壮数を増やして下さい。
ライター
先が長くなっているライターを選びましょう。
理由は普通のライターの場合、連続で使用していると持ち手が熱くなってしまうからです。
また、初めてする際は少し緊張する人もいると思いますので、火力は事前に確認してからして下さい。
水を張った灰皿
灰皿は水を張ってすぐ届く場所に置いてください。
鎮火したと思っていても火種が残っていることがあります。
慌てて取ったときに灰皿が近くにないと危険ですので、直ぐに捨てられる距離に置きましょう。
タオル
タオルは広めに敷いてください。
稀に思いがけない方向へ転がっていく可能性があるからです。
ですのでお灸をする時は周りを片付けてしましょう。十分な広さを確保してタオルを広めに敷いてください。
手順方法
1.お灸をシートから剥がして一旦手元に貼り付けてから点火してください。お灸を直接皮膚に置いてから火を付けると火傷の危険性が高くなるからです。一度に数か所へお灸をするときは、個数分を手元に並べて付けると効率が上がります。くれぐれも火に気をつけて行ってください。
2.台座の部分を持って目的のツボにしっかりと貼りましょう。台座の部分は最初の段階では熱くありません。汗をかいていたりすると剥がれやすい場合があるので注意して下さい。
3.取った後は水の張った灰皿に入れ、火種を完全に消してください。火種が鎮火しきれていない状態でゴミ箱に捨ててしまうと、火事の原因になってしまうからです。また水で直ぐに鎮火することで煙の蔓延を防ぎます。
正しい手順は忘れやすく自己流になりやすい為、たまにこちらで確認してください。
最後に鍼灸院でよく質問されることを紹介して終わりとなります。
6.鍼灸院でよくあるQ&A
Q.鍼灸院へ何回くらい通うと改善しますか?
A.当院では正しく通うと平均して4~5回目に改善するケースが多いです。
ですが、この程度の回数では体質を改善するまでは難しく、再発の防止も兼ねてしっかりと体質の改善が出来るようになるまで、もう少し治療を続けられることをお勧め致します。
Q.治療院で使っているお灸を自宅でもしたいのですが、販売してますか?
A.販売しています。また始めるときに不安な場合は、治療中に一度やり方を確認しています。
Q.赤ちゃんの首に、へその緒が巻きついている場合は治療を受けられますか?
A.安全のために施術はお断りさせていただきます。
また、お灸での改善過程でへその緒が巻きつくリスクはありませんのでご安心ください。
Q.お灸で火傷や水ぶくれはできますか?
A.細心の注意を払って行いますが、残念ながら100%防止することは出来ません。
万が一、火傷をしてしまった場合には違うツボに変えるなどの対応をしています。
自宅で火傷をしてしまった際には、市販の紫雲膏を塗って下さい。まず千年灸などの台座灸では火傷の心配はないですが、中程度以上の火傷をしてしまった場合には医療機関で正しい処置を行ってください。
Q.妊娠末期でも対応は可能ですか?
A.対応可能です。改善する確率は低くなりますが、妊娠末期でも改善する人はいます。妊娠中の鍼灸治療は、母子共にメリットのある治療なので、やってみる価値は十分にあります。
Q.逆子の治療を避けるべき場合はありますか?
A.あります。過去に習慣性の流産や早産、死産、頸管無力症などリスクの高いものです。
多胎妊娠や膣炎、子宮の奇形、重症妊娠中毒症、尿路感染症、前置胎盤がある場合は鍼灸治療を避けるべきだと言われています。
この他にも何かご不明点がございましたらお気軽にご質問下さい。
7.まとめ
いかがでしたでしょうか。逆子のお灸は母子ともにメリットが沢山あること、開始する理想の期間、逆子の原因、鍼灸院と自宅の同時進行でお灸をする方が効果的だということ、自宅でのお灸の適切な始め方をご理解いただけたと思います。
最後に本記事で解説した内容をまとめると、ポイントは以下の5つです。
(1)逆子のお灸はお母さんと赤ちゃんに5つのメリットがある
- 1.逆子の改善
- 2.胎児の成長促進
- 3.リラックス効果
- 4.母体の健康改善
- 5.安産になりやすい
(2)開始する理想のタイミングと頻度がある
- 1.妊娠25~30週頃までに治療を開始すると良い
- 2.鍼灸院へ通いながら自宅でもお灸をする短期集中型がベスト
(3)逆子の多くは冷えが原因
特に下半身を冷やさない・温めることを意識する。
(4)鍼灸院では体質に合わせてより効果的な治療が受けられる
- ・体質に合わせて、より効果的なツボを鍼灸師が追加できる
- ・ズレると効果のないツボの位置を、的確に教えてくれる
- ・他の不調も改善していくことで、妊娠中や出産後に母子の体調が良くなる
(5)自宅でお灸をする方法を画像でわかりやすく解説
- 1.自宅で使用するツボは「三陰交」と「至陰」
- 2.自宅でお灸をするときの準備と手順を把握し、安全に使用する
逆子は最後まで諦めないでください。最後の最後に最終検診で逆子が直っていたという人もいます。
逆子が直らなかったとしても、母体と赤ちゃんにとってメリットの多い鍼灸刺激は決して無駄にはなりません。是非挑戦してみましょう。
また、逆子の改善後に鍼灸を続けることもお勧め致します。理由としては、再発の防止や安産になりやすくなるからです。
皆さんの逆子改善と母子共に健康で出産できることを心より願っております。